2009年10月4日日曜日

このまま海を見ていよう



森で生まれた彼は、海にあこがれていた。
どうせなら、そこより先に陸地のない、ドンつきまで行ってやろうと森を出た。

途中見ようと思えば海を見るチャンスはいくらもあったが、そこの景色がどうしても見たかったので目をつぶってさらに勇ましく南へ駆けていった。

疲れた体を引きずるようにたどり着いた、半島の先端で見た初めての海は、キラキラ光るおおきなうねりが寄せていた。
森では一番の彼は、そのうねりにはじめて自分より大きな力を感じ、ずっとここにいようと決めた。