2011年9月16日金曜日

寺下通りタイムツアー


豊橋鉄道渥美線、田原駅の裏手には寺が軒を連ねていて、その前の道は「寺下通り」と呼ばれている。
この通りは車の速度よりも歩きの速度のほうが断然おもしろい。
クルマの走る道は別にあるので、今やこの通りは地域の人が使う程度のいわゆる旧道。この通りの魅力はひと昔前の建物の風景と界隈的な情緒にあるけれど、ゆっくり歩いてみると実は風景に歴史が凝縮されていることに気づいた。
通りの入り口には小さな古墳と石仏群をもつ寺がある。古墳の中は覗けるようになっていて、頭を突っ込むと豪族がいた中世にタイムスリップした気になる。頭を抜いて通りに戻ると、かつての城下町の入り口だった坂がある。江戸時代には渡辺崋山が家老をつとめた田原は、城下町としても栄えた土地。そこから少し歩くと松雄芭蕉の句碑のある寺がある。江戸から戻って歩き出すと、路地の隙間から大きな宇宙船のような建物が光っていた。いきなり未来?と驚いたが、よく見ると何かの工場。ついに工業化社会までやってきた。工場の向うからは渥美線の音が聞こえていて、今日の人が動いている。
ほんの100メートルちょっとをゆっくりと歩いているのに、風景として時代が次から次へと立ち上がってくる。
時間の感覚がちょっとねじれる感じが心地よい通り。夕暮れになってきたら、猫があくびしながら長い影を落とす。

2011年9月4日日曜日

夏のはじめにおろしたビーチサンダルは2・3日して鼻緒の部分が赤くなって痛くなる。ビーチサンダルを履く時は休日に外に出る時か、普段クルマに乗るときなのでそうすぐに慣れるわけではない。
ビーチサンダルが足に馴染むまでの間には、ちょっとした焦りがある。
「早く慣れなきゃ夏が終わってしまう。」というやつ。
台風が落ち着いたので、夕涼みに子供を抱えて散歩をした。足元の鼻緒の部分を見ると、痛かったところもすっかりなおっていてビーチサンダルは足に馴染んでいるけれど、一方吹いてくる風はもう夏を越えていそうな涼しさだった。