今号の「房総百景」には内房の町岩井で生涯を閉じた詩人・百田宗治氏のことを書きました。
そして今日は、その号の発行日であると同時に、偶然にもの彼の誕生日でもありました。
高校の頃の僕にとって、岩井は自転車で40分もかけて行く遠くの隣町で、岩井の長い砂浜の端っこで、親しい友達と語らったり夏場には花火をしたりするのが楽しみでした。
元旦の早朝に僕は取材のためクルマで少し大人になった気分で岩井を訪れました。
彼の詩のひとつに「朝の時間」というのがあり、この詩からは彼が抱いていた、時間や人生に対しての愛情みたいなものを感じられます。どうせ岩井を歩くなら、彼が大事にしていた時間にと思い、はりきって早起きをしてみました。
紙面に書いたように、生前彼の住んでいたという家の前からは岩井の浜が見えるのだけれど、僕は遠くに花火をしている友人と僕が見えた気がしました。
房総百景を書くことによって、僕が今まで知らなかった出来事や、見えていなかった地域の姿に触れることができています。そしてなにより、この舞台は僕の地元であって僕の記憶もそこに積み重なっているのです。