2011年8月30日火曜日

太海のこと

毎朝車で、清清しい空気の太海の町中を通る。
この町で生まれ育った地元の友人の家に遊びに行ったとき、真夜中に浜でキャンバスを広げている人がいた。こんな暗闇で何を描くのかなと思ったのがとても印象的だった。
つげ義春や安井曾太郎の作品がここをテーマに描かれていることもあるし、もしかしたらフラッと訪れただけの人でさえ「絵でも描いてみるか」なんて思うかもしれない。

車を置いて路地を歩くと、ここには人の心情に訴えかける何かがあると実感する。
この前の早朝、ひとりで太海を散歩した時は、ちょうど台風のうねりが重なって激しい波が打ち寄せていた。友人と遊ぶ時はいつも凪いだ時ばかりだったので、初めての景色のなかに身を置くことになった。力強い波が身近な風景に気を配る隙を与えなかったせいか、前から気になっていた事を強く感じた。とっても感覚的なことだけど、ここには太古からの海に向かって発せられた人の思いが集積しているような気がする。そしてそれは、いたるところから立ちのぼって波しぶきと溶け合い、また土やとんがった岩に沈殿していく。なんかそんな気がする。

2011年8月14日日曜日

朝がやってくる

朝がやってくるような、あるいは朝に突入していくような体感。

それなぁーに。


息を吸っても吐いてもきれいな音を奏でることの出来るハーモニカは、憎めない楽器。このところ子供を抱っこしながら、小さい音で口にくわえたハーモニカを吹く「ハモニカあやし」なるものをよくやるようになった。何日か前もそれをやっていたら、周りをハイハイして遊んでいた友人の子供たちが音を聞くやいなや、ぴたっと止まり、まぁるい目と口をしてこちらを見ていた。うちの子もまた、腕の中でおんなじ様な顔をしていた。
三人の赤ちゃんに同時に見られたのは初めてのことだったので、不思議そうにこちらを見るまなざしにちょっとびっくりしてしまった。