彼女のお母さんは自宅の庭で花を育てるのが好きなようで、出勤前に庭先のものを摘んでいくのだという。
花をいけたらお客さんと話が弾むことが増えたし、仕事中にも自分のいけた花がそこにあるというのが気分がいい。お客さんがひいて少し時間に余裕が出て、店内をかるく掃除したり整えたりする時にはテーブルの上の花は必ず最後に整えるのがとても大事な時間だと言っていた。
彼女は今の店を卒業して、近々新しい家に引っ越し、自分の作るスイーツを色々な人とたのしめるような参加型の工房を作りたいといっていた。
新しい生活にもきっと花が飾られるはず。
そしてまた、そこに来る人とも会話が弾んで、どうか素敵な時間をたくさんの人と楽しんでほしい。
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もしこの世の中に、風にゆれる「花」がなかったら、人の心はもっともっと、荒んでいたかもしれない。
もしこの世の中に「色」がなかったら、人々の人生観まで変わっていたかもしれない。
------- 中原淳一「美しく生きる」より