2011年2月13日日曜日

空に鳴ったアケビ



すこし前まで、山のアケビたちは渇いた木々の間にぶら下がっていた。
ツヤツヤとしてハリのあるアケビたちの姿は、木々の表情とは裏腹に躍動感があった。

アケビのツタは、木々に紛れていて遠くからは見えないから、林の表面にオレンジ色の粒たちが規則的とも不規則とも言えないように浮かんでいて、まるで音符のようだった。

風が吹いて林全体がざわめくと、枝と枝が擦れる音とアケビの音符がいっせいに鳴り出すように感じた。

昨日、車で二時間近く走り続けたので、コンビニの駐車場でシートを倒して寝転んだ。
そうしたら、窓越しに五線譜のような電線が見え、山のアケビたちの事を思い出した。